超高齢化社会に向けて、介護施設の入居条件や備え
「超高齢化社会」とは、総人口に占める65歳以上の高齢者の割合が21%を超えた社会を指します。
日本はすでに2007年に超高齢化社会に突入しており、現在(令和7年時点)では約30%が高齢者です。これは世界でも最も高い水準となっています。少子高齢化に伴い、老後の年金に不安を覚える人も少なくないでしょう。
ご自身の将来を考え・どう準備する必要があるのか。例外等ありますが今回は一般的な介護施設の情報をお伝えしたいと思います。
目次
1. 介護施設の種類と特徴一覧
施設種類 | 主な特徴 | 入居一時金 | 月額費用 | 介護サービス |
---|---|---|---|---|
特別養護老人ホーム(特養) | 公的。重度要介護者向け | 0〜数十万円 | 約8〜15万円 | ○(24時間体制) |
介護老人保健施設(老健) | リハビリ目的。医療ケア重視 | 0〜数十万円 | 約8〜15万円 | ○(医療体制強) |
介護医療院 | 医療重視・終の棲家としても | 0〜数十万円 | 約8〜15万円 | ◎(医療行為対応) |
有料老人ホーム(介護付き) | 民間。介護サービス付 | 数百万円~ | 約15〜35万円 | ◎(施設内で完結) |
住宅型有料老人ホーム | 自立~要支援向け | 数十〜数百万円 | 約10〜25万円 | △(外部介護連携) |
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 自立〜軽度要介護者向け | 敷金のみ | 約10〜20万円 | △(見守り程度) |
2. 入居条件と必要な介護度
- 特養:要介護3以上(原則)、入居審査あり。低所得者優遇。
- 老健:要介護1以上、在宅復帰を前提とした短期利用。
- 介護医療院:要介護1以上。医療依存度が高い方向け。
- 介護付き有料老人ホーム:要支援1〜要介護5。柔軟な受け入れ。
- サ高住・住宅型:要支援・要介護でも可(ただし日常生活は自立していると望ましい)。
3. 介護施設の費用比較(月額・入居一時金)
施設種類 | 入居一時金 | 月額費用(目安) |
---|---|---|
特養 | 0〜数十万円 | 8〜15万円 |
老健 | 0〜数十万円 | 8〜15万円 |
介護医療院 | 0〜数十万円 | 8〜15万円 |
有料老人ホーム(介護付き) | 100〜1,000万円(※月額型もあり) | 15〜35万円 |
サ高住 | 敷金2〜3ヶ月分 | 10〜20万円 |
住宅型 | 0〜500万円 | 12〜25万円 |
※介護度・地域・居室タイプによって変動します。
4. どんな人にどの施設が向いている?目的別マッチング
状況 | 向いている施設 | 理由 |
---|---|---|
認知症が進行し常時介助が必要 | 特養、介護付き有料 | 24時間対応・職員常駐 |
医療処置が必要(点滴、褥瘡など) | 介護医療院、老健 | 医師・看護師常駐 |
リハビリをして在宅復帰したい | 老健 | 短期集中型リハビリ体制 |
一人暮らしで不安・見守り希望 | サ高住、住宅型 | 見守りや生活支援が充実 |
比較的元気だが老後に備えたい | サ高住 | バリアフリー+見守りあり |
5. 年金で足りる?月額支出と年金の現実
●老後の平均年金額(単身・夫婦)
現役中の働き方により老後の年金額は大きく個人差が生まれます。老後の年金が現時点でどの位、貰えるのか、どの様に働いたらいくら貰えるのか等のシュミレーションもできます。
種別 | 平均月額(手取り) |
---|---|
単身(老齢年金)(老齢基礎+厚生年金) | 約8万〜15万円 |
夫婦(合算) | 約23万〜30万円 |
●介護施設入居後の平均支出
支出項目 | 単身高齢者 | 夫婦世帯 |
---|---|---|
施設費(月額) | 15〜25万円 | 25〜40万円 |
医療・介護費(自己負担) | 1〜2万円 | 2〜3万円 |
雑費・日用品 | 1〜2万円 | 2〜3万円 |
合計(月額) | 17〜29万円 | 30〜46万円 |
● 平均的な年金では足りないケースが多い。元気に働ける間に将来の在り方を考え、準備していく必要があるかと思います。
6. 費用が足りないときの対応策と必要資産目安
●足りない月額例
施設種類 | 足りない金額(月) |
---|---|
特養(軽負担) | ほぼ年金で賄える(差額0〜3万円) |
有料老人ホーム(中高額) | 約7〜15万円不足 |
●準備が必要な資産目安(80歳〜95歳まで15年間の場合)
月の不足額 | 15年間に必要な総額 |
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月7万円 | 約1,260万円 |
月10万円 | 約1,800万円 |
月15万円 | 約2,700万円 |
7. まとめ:将来の安心のために今できる備えを
介護施設の選択は、介護度・医療ニーズ・費用負担能力により大きく異なります。
平均的な年金では施設によっては不足が生じる可能性が高く、老後資金の準備が重要です。
●今からできる準備
- ご自身の将来の在り方、どうなりたくて、どうなりたくないのかをイメージする
- 民間保険や貯蓄・資産活用で不足分の補完
- 家族との介護方針の共有・認知症の対策
- 財産管理の為、家族信託や任意後見制度の検討
- 将来制度の変更はあると思いますが介護保険や年金制度の確認
老後の安心は「情報」と「備え」から。今からできる準備で、より安心できる生活を目指しましょう。まず将来設計から考えたいという方はお気軽にお問合せ下さい。