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【税務編】遺留分相当額は相続税?贈与税?税務署の取り扱いと注意点を徹底解説

👉 本記事は「法律上の義務」を解説する 【法律編】の記事 とリンクしています。
➡ 法律の仕組みを知りたい方はこちら → 遺留分相当額を渡すと贈与になる?【法律編】


1. 遺留分相当額と税金の基本的な考え方

受け取る側 → 相続税の対象
支払う側 → 相続税の計算上控除できない(=ダブル負担の印象)


2. 遺留分相当額は「贈与税」ではなく「相続税」の対象

贈与税は任意の財産移転に課税されます。
遺留分相当額は「法律上の義務に基づく移転」なので、贈与税は適用されず、相続税の計算対象になります。


3. 相続税申告における受け取る側・支払う側の扱い

  • 受け取る側:相続財産に加算 → 課税対象
  • 支払う側:支払った金額は「債務控除の対象外」

この点を誤解すると申告誤りが発生します。


4. 実際の事例で見る税務処理

事例①
父の遺産1億円を長男が相続。次男が遺留分侵害額請求で2,500万円を受け取る。

  • 次男 → 相続税対象2,500万円
  • 長男 → 1億円全額で相続税計算(2,500万円を差し引けない)

事例②
相続開始前に長男が「将来の遺留分分」として2,000万円渡した
→ 贈与税の対象


5. 贈与と誤解されやすいケース

  • 相続前に渡した分:完全に贈与
  • 法定額以上の上乗せ支払い:贈与課税リスク

6. 相続税申告の落とし穴

  • 受け取った側が申告漏れ
  • 支払った側が債務控除に計上してしまう誤り
  • 結果的に追徴課税・加算税のリスク

7. 税務調査で指摘されやすいポイント

  • 生前贈与との混同
  • 遺留分相当額の過小申告
  • 上乗せ支払いの贈与課税漏れ

8. 専門家がよく使う実務対応策

  • 弁護士と税理士の連携:法的な請求と税務申告を同時進行
  • 評価額の適正算出:不動産や非上場株式の鑑定を用いる
  • 遺留分放棄の利用:生前に放棄しておけば税務処理がシンプル

9. まとめ

  • 遺留分相当額は 贈与税ではなく相続税 の対象
  • 支払う側は控除できないため、実務上は重い負担になりがち
  • 税務処理を誤ると追徴リスクがあるため、専門家の関与が必須

👉 法律的な仕組みをまだ読んでいない方はこちらへどうぞ
遺留分相当額を渡すと贈与になる?【法律編】